
はじめに:ライバーという新しい働き方と保育園入園
近年、スマートフォン一つで場所や時間を選ばずに働けるライバーという職業が注目を集めています。特に、家事や育児に忙しいママたちの間で、新しい在宅ワークの形として人気が高まっています。
「子どもを保育園に預けて働きたいけれど、外に働きに出るのは難しい」「在宅で仕事をしているけれど、保育園に入れるのだろうか」そんな悩みを抱えているママたちにとって、ライバーという働き方は大きな可能性を秘めています。
本記事では、ライバーとして働きながら保育園入園を目指す「保活」について、就労証明書の取得方法から点数の仕組み、実際の申請手続きまで、詳しく解説していきます。
ライバーでも就労証明書は発行できる!その仕組みとは
ライバーは立派な在宅ワーク
ライバーで収入を得るということは、れっきとした仕事です。自宅でライブ配信を行い、視聴者とコミュニケーションを取りながら収入を得る。これは、外で働くのと同様に「就労している」状態なのです。
したがって、ライバーとして活動している方も、保育園入園に必要な就労証明書を取得することができます。子どもを保育園に預けて、より安定的にライバー活動に専念することも可能になるのです。
フリーライバーと事務所所属、どちらが保活に有利?
ライバーとして活動する方法は、大きく分けて二つあります。
フリーライバーの場合
ライバー事務所に所属せず、フリーで活動している場合、就労証明書は自分で作成することになります。また、確定申告も自力で行う必要があり、税務処理や書類作成に不慣れな方にとっては負担が大きくなる可能性があります。
保活の準備期間中に「書類の書き方が分からない」「何を記載すればいいのか分からない」とあたふたしてしまい、申請期限に間に合わないといった事態も起こりかねません。
事務所所属ライバーの場合
一方、ライバー事務所に所属している場合、多くのメリットがあります。特に保活において重要なのが、確定申告や就労証明書の作成サポートです。
ライバー事務所によっては、所属ライバーのために就労証明書を無料で作成してくれたり、確定申告のサポートを行ってくれたりするところもあります。これにより、書類作成の不安から解放され、保活をスムーズに進めることができます。
ママライバーに適した事務所の選び方
ただし、注意すべき点があります。若い世代のライバーをメインターゲットとしている事務所では、こうした生活面でのサポートまで配慮していないケースも少なくありません。
保活を視野に入れている場合は、20代~30代の主婦やママ、シングルマザーに特化したライバー事務所を選ぶことをおすすめします。事務所を選ぶ際には、問い合わせの段階で以下の点を確認しておくと安心です。
- 確定申告のサポートを行っているか
- 就労証明書の作成支援があるか
- ママライバーの在籍実績はあるか
- 保活経験のあるライバーがいるか
こうした事前確認により、保活に必要なサポートが受けられる事務所を見つけることができます。
ライバーが在宅ワークとして最適な理由
ライバーは、自宅で仕事をしたい女性、特に子育て中のママにとって最適な働き方です。その理由は以下の通りです。
時間の柔軟性
子どもの生活リズムに合わせて配信時間を調整できます。朝の家事が終わった後、子どもの昼寝中、夜寝かしつけた後など、自分のライフスタイルに合わせて働く時間を選べます。
場所の自由度
自宅はもちろん、Wi-Fi環境さえあればどこでも配信可能です。実家に帰省した際や、旅行先からでも仕事を続けることができます。
収入の可能性
毎日数時間の配信を習慣化できれば、サラリーマンの月収程度の収入を得ることも十分可能です。リスナーとの信頼関係を築き、ファンが増えれば、安定した収入源となります。
家族との時間を大切にできる
外に働きに出る必要がないため、子どもや配偶者との時間を削ることなく収入を得られます。子どもが急に体調を崩した際も、すぐに対応できる安心感があります。
保活のスケジュールと基本知識
保活はいつから始めるべき?
保育園入園を目指す「保活」は、計画的に進める必要があります。お住まいの地域によって多少の違いはありますが、認可保育園の場合、基本的なスケジュールは以下の通りです。
翌年度4月入園を目指す場合
- 10月~11月:保活スタート
各自治体で申請受付が開始されます。この時期に、入園したい認可保育園を選び、必要書類を揃えて申込を行います。 - 1月~2月:選考結果通知
自治体から入園可否の通知が届きます。 - 3月:入園準備
入園が決まった場合、説明会への参加や必要な物品の準備を行います。 - 4月:入園
新年度からの保育園生活がスタートします。
このスケジュールを念頭に置き、遅くとも前年の夏頃から情報収集を始め、秋には就労証明書などの必要書類を準備できる体制を整えておくことが重要です。
申し込みに必要な書類
認可保育園に申し込む際には、各自治体が定める申込書に加えて、以下のような書類が必要になります。
- 就労証明書(最重要)
- 住民票
- 所得証明書・課税証明書
- 健康保険証のコピー
- その他、自治体が指定する書類
中でも「就労証明書」は、保育の必要性を証明する最も重要な書類です。この書類の内容によって、入園の可否を決める点数が大きく変わってきます。
就労証明書とは?保活における重要性
就労証明書の役割
就労証明書とは、その名の通り「働いている事実を証明する書類」です。保育園は基本的に、保護者が仕事などの理由で日中に子どもを保育できない家庭のための福祉施設です。そのため、「本当に保育が必要な状況にあるのか」を客観的に判断するための根拠として、就労証明書が求められます。
認可保育園に入れるかどうかは、各家庭の状況を点数化した「指数」によって決まります。この指数を算出する際の重要な判断材料となるのが就労証明書なのです。
保育園入園の優先順位を決める「指数」の仕組み
保育園入園の可否は、以下の3つの要素によって決定されます。
①基準指数
父親と母親それぞれの就労状況や健康状態などをポイント化したものです。各自治体によって基準は異なりますが、一般的には以下のような項目が評価されます。
- 就労状況(フルタイム勤務、パートタイム勤務、自営業など)
- 就労時間(週何日、1日何時間働いているか)
- 健康状態(病気や障害の有無)
- 家族の介護が必要かどうか
例えば、フルタイム勤務(週5日以上、1日8時間以上)の場合は高得点、パートタイム勤務の場合は時間数に応じた点数、就職予定の場合はさらに低い点数といった具合です。
父親と母親それぞれの基準指数を合算したものが、家庭の基準指数となります。
②調整指数
家庭の個別事情を考慮して、基準指数に加点または減点を行うものです。
加点される例:
- 希望する保育園に兄弟姉妹が既に在園している
- 既に無認可保育園やベビーシッターを利用して就労している
- ひとり親家庭である
- 生活保護世帯である
- 保護者に障害がある
減点される例:
- 祖父母と同居している(保育の代替手段があると判断されるため)
- 求職中である
③優先順位
基準指数と調整指数を合計した「総合指数」が同点だった場合、優先順位によって入園者が決定されます。
優先順位の判断基準は自治体によって異なりますが、一般的には以下のような要素が考慮されます。
- 居住年数の長さ
- 世帯収入の低さ
- 保護者の健康状態
- きょうだいの在園状況
点数が高いほど有利な理由
この指数(点数)は、高ければ高いほど保育園に入園できる可能性が高くなります。特に、都市部の人気保育園では希望者が多く、わずか1点の差で入園の可否が分かれることも珍しくありません。
そのため、就労証明書の内容を充実させ、できるだけ高い点数を獲得することが保活成功の鍵となるのです。
ライバーの就労証明書、具体的な書き方
就労証明書に記載する項目
各自治体によって就労証明書の様式は異なりますが、基本的には以下のような項目を記入することになります。ライバーの場合の記入例を見ていきましょう。
①業種・職種
記入例:「ライバー」「ライブ配信業」「インターネット配信業」など
自治体の担当者が理解しやすいよう、明確に記載しましょう。
②就労先
記入例:「自宅」または「在宅」
ライバーは在宅ワークですので、就労場所は自宅となります。
③就労先の代表者印鑑
- フリーライバーの場合:本人の印鑑
- 事務所所属の場合:所属するライバー事務所の代表者印鑑
事務所所属の場合、事務所が証明者となって記入・押印してくれることが多いです。
④就労時間
これが最も重要なポイントです。ライバーの場合、厳密に記載する必要はありませんが、現実的な配信スケジュールを記入します。
記入例1:毎日配信する場合
例えば、毎日5時間配信すると決めている場合:
- 日曜日:5時間
- 月曜日:5時間
- 火曜日:5時間
- 水曜日:5時間
- 木曜日:5時間
- 金曜日:5時間
- 土曜日:5時間
週の労働時間:5時間×7日=35時間
月の労働時間:35時間×4週間=140時間
記入例2:平日のみ配信する場合
例えば、平日のみ6時間配信する場合:
- 月曜日:6時間
- 火曜日:6時間
- 水曜日:6時間
- 木曜日:6時間
- 金曜日:6時間
- 土曜日:休み
- 日曜日:休み
週の労働時間:6時間×5日=30時間
月の労働時間:30時間×4週間=120時間
記入例3:毎日3時間配信する場合
子どもの生活リズムに合わせて、短時間でも毎日配信する場合:
- 毎日:3時間
週の労働時間:3時間×7日=21時間
月の労働時間:21時間×4週間=84時間
このように、自分の配信スケジュールに合わせて、現実的かつ継続可能な就労時間を記載します。一般的に、フルタイム勤務は週40時間以上とされていますが、週20時間以上であればパートタイムとしても十分な就労実績と認められます。
ライバーの就労証明書における強み
ライバーの就労証明書には、他の働き方にはない大きな強みがあります。
就労時間を自分で決められる
会社勤務の場合、就労時間は会社が決めるものです。しかしライバーの場合、1日何時間配信するか、週何日配信するかは、あなた自身が決めることができます。
つまり、保活に必要な就労時間を確保し、それを就労証明書に記載することで、高い点数を獲得することが可能なのです。
努力次第で点数アップが可能
「保育園に入れるために、もう少し就労時間を増やしたい」と思ったら、配信時間を増やすことで対応できます。この柔軟性は、ライバーならではの大きなメリットです。
継続性の証明
毎日配信を続けていれば、それだけで「継続的に就労している」という実績になります。配信履歴が残るプラットフォームであれば、その記録も就労実績の証明として活用できます。
そのほかに準備しておくと良い書類・証明
就労証明書は最重要書類ですが、それだけでは不十分な場合もあります。特にライバーのような新しい働き方の場合、自治体の担当者が「本当に仕事として成立しているのか」を判断しづらいこともあるでしょう。
そこで、就労証明書を補強する追加書類を準備しておくことをおすすめします。
収入を証明する書類
確定申告書の控え
前年度の確定申告書は、収入があることを客観的に証明する最も有力な書類です。ライバーとして一定の収入があり、きちんと納税していることを示せます。
収支内訳書
事業としてライバー活動を行っている場合、収支内訳書も有効です。収入と経費の内訳を示すことで、事業実態を明確にできます。
報酬明細や振込記録
ライブ配信プラットフォームからの報酬明細や、銀行口座への振込記録も、継続的な収入があることの証明になります。
実績を示す資料
配信履歴
配信プラットフォームの配信履歴や、視聴者数、配信時間の記録などをスクリーンショットで保存しておきましょう。「実際にこれだけ配信している」という実績の証明になります。
ライバー事務所との契約書
事務所に所属している場合、事務所との業務委託契約書や所属契約書があれば、それも提出すると効果的です。
仕事内容の説明文
ライバーという職業がまだ一般的でない地域の場合、「ライバーとはどのような仕事か」を分かりやすく説明した文章を添付すると親切です。
既に保育サービスを利用している証明
無認可保育園の利用証明
既に無認可保育園を利用している場合、その利用証明書や領収書を提出することで、「既に保育の必要性があり、実際に保育サービスを利用している」ことが証明でき、大きな加点になります。
ベビーシッターの利用証明
ベビーシッターサービスを利用している場合も同様です。利用契約書や領収書を保管しておきましょう。
その他の加点要素
兄弟姉妹の在園証明
希望する保育園に既に上の子が在園している場合、兄弟加点により優先度が大幅に上がります。
ひとり親世帯の証明
シングルマザーの場合、戸籍謄本などでひとり親であることを証明できれば、優先順位が高くなります。
健康上の配慮が必要な証明
自身や家族に健康上の問題があり、特別な配慮が必要な場合は、医師の診断書などを添付することで考慮してもらえる可能性があります。
保活成功のためのライバー活動のコツ
計画的な配信スケジュール
保活を見据えてライバー活動を始める場合、計画的な配信スケジュールを立てることが重要です。
最低週20時間を目標に
パートタイム勤務として認められる最低ラインは、一般的に週20時間程度です。週5日配信する場合、1日4時間の配信で達成できます。
継続性が重要
週末にまとめて長時間配信するよりも、毎日短時間でも継続的に配信する方が、就労の継続性を示しやすくなります。
収入の安定化
月々の収入目標を設定
確定申告や就労証明において、安定した収入があることを示すため、月々の収入目標を設定しましょう。
複数のプラットフォームを活用
一つのプラットフォームだけでなく、複数のライブ配信サービスを活用することで、収入の安定化を図れます。
事務所選びのポイント再確認
保活サポートの有無
前述の通り、ママライバーに特化した事務所で、就労証明書や確定申告のサポートがある事務所を選びましょう。
実績のある事務所
保活に成功したママライバーの実績がある事務所なら、ノウハウも蓄積されており、適切なアドバイスが得られます。
税金と確定申告の重要性
ライバーとして一定の収入を得るようになったら、必ず確定申告を行い、適切に納税する必要があります。
確定申告が必要な基準
給与所得がない場合
ライバーのみの収入で、年間所得(収入から経費を引いた額)が48万円を超える場合、確定申告が必要です。
給与所得がある場合
会社員として働きながら副業としてライバーをしている場合、ライバーの所得が年間20万円を超えたら確定申告が必要です。
確定申告をしないリスク
確定申告を怠ると、以下のようなリスクがあります。
- 税務署から追徴課税される
- 延滞税や加算税が課される
- 悪質な場合は脱税として刑事罰の対象になる
- 就労証明書の信憑性が疑われる
特に保活において、確定申告をしていないと「本当に仕事として成立しているのか」という疑念を持たれ、就労証明書が認められない可能性もあります。
事務所サポートの活用
ライバー事務所によっては、税理士と提携して確定申告のサポートをしているところもあります。税務処理に不安がある方は、こうしたサポートを活用することをおすすめします。
まとめ:ママライバーと保活の両立
ライバーは保活に有利な働き方
ライバーという働き方は、保活を成功させるための多くのメリットがあります。
- 自宅で働けるため、子どもとの時間を大切にできる
- 就労時間を自分で調整できる
- 努力次第で収入を増やせる
- 就労証明書の取得が可能
- 子どもの急な体調不良にも対応しやすい
保育園入園後も続けやすい
保育園に入園できた後も、ライバーという働き方は子育てと両立しやすいです。
子どもが病気で保育園を休まなければならない日も、自宅で働けるライバーなら、子どもの看病をしながら短時間でも配信することが可能です。また、保育園の送り迎えの時間に合わせて配信スケジュールを調整できるのも大きな利点です。
早めの準備がカギ
保活を成功させるためには、早めの準備が何よりも重要です。
- 前年の夏頃から情報収集を開始
- 秋にはライバー活動を本格化
- 10月~11月の申請時期には万全の書類を準備
この流れを意識して、計画的に進めていきましょう。
サポート体制の整った事務所を選ぶ
ライバー事務所選びは、保活の成否を分ける重要なポイントです。
- 就労証明書の発行サポートがある
- 確定申告のサポートがある
- ママライバーの実績がある
- 相談しやすい環境がある
こうした条件を満たす事務所を選ぶことで、安心して保活とライバー活動を両立できます。
最後に
ライバーという新しい働き方は、子育て中のママにとって理想的な選択肢の一つです。保育園入園という壁を乗り越え、仕事と育児を両立させる。その実現のために、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
保活は大変な道のりですが、適切な準備と計画があれば、必ず道は開けます。ママライバーとして、あなたらしい働き方を見つけ、充実した子育てライフを送られることを心から応援しています。